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Q:80歳だった父が亡くなって3か月が経ちます。独り残された母ですが、葬儀の後始末が過ぎて緊張が解けたころから元気がなくなり、声を掛けても生返事。落ち込んだ様子が続くようになりました。心配です。とくに病院に通っているわけではなく、身体は今のところなんともありません。食欲も少食ですが父が生前のときと変わりありません。何か気をつけなければいけないことはあるでしょうか? A:大切な家族をうしなったあと、気分の落ち込みが続く様子のときはうつ病を心配する必要があります。高齢者の場合は老人性うつ病といって、外出が減ったりテレビを観なくなるなどの行動の低下も見られるのが特徴です。まずは受診をおすすめします。周りの家族は、お母さんの行動や発言を頭ごなしに否定せずに、いたわるように根気よく接してあげてください。外出に誘ったり、趣味の話で盛り上がってみるなど前向きな行動をとるように応じてください。 ●194-1 配偶者を亡くしたあとに発症しやすい老人性うつ病 夫を亡くした妻や妻を亡くした夫が、お葬式の後始末を終えてしばらく経つ頃から、相談者の例のように落ち込んでいたり返事が暗くなったりするなどの様子を見せることがあります。配偶者の死が大きな喪失感となって、孤独感が強まったり自己評価が低下していったりするなどがその原因です。 普通なら、日常生活を送りながら徐々に回復を見せるのですが、落ち込んだ様子がずっと続くようであればうつ病が疑われます。 うつ病は、2週間以上にわたって気分が落ち込んだりやる気を失って普通の生活を送れなくなる病気です。「意欲が減退している」「食欲がない」「睡眠がよくとれていない」「(自分ももうじき死ぬ、次は私の番だなど)弱気な発言をする」という状態なら、「元気を出して」「しっかりして」などの声を掛けても快方しません。こうした場合、老人性うつ病が疑われます。できるだけ早く受診してください。 老人性うつ病の症状の特徴としては、「喜びの喪失」「意欲の低下」「思考力の低下」に加えて、「原因不明の痛み(頭痛、胃痛、腰痛など)」や「不眠」などが見られます。「テレビを観なくなった」「出かけることが減った」など、欲求の低下が見られたら要注意です。 ●194-2 老人性うつ病なら思いやりをもって接すること 一般にうつ病の治療は抗うつ剤などの薬物療法が行なわれます。ただし、高齢者の場合、薬物による副作用に配慮しなければならず、薬物よりもカウンセリングが有効な場合があります。家族の皆さんも、普段から「あ、そうなのね」「たいへんだね」と肯定的に声を掛けてあげてください。否定や反論は禁物です。 老人性うつ病は改善する病気ですので、根気よく接してあげてください。また、孤立させない、ゆったりとした気持ちにさせる、外出して人と交流するなども老人性うつ病の予防と改善に有効です。 たとえうつ病でなくても、年を取るほど自分の言い分を頑固に主張したり、一方では極端に弱気になったりと不安定になるものです。このような老いの症状は誰にでも起きることです。そういった言葉や行動の表面だけを捉えて接するのではなく、本当の気持ちは別にある、というくらいに思いやって接してください。 趣味やサークル、ボランティア活動などにできるだけ積極的に参加するよう促すなど、前向きな行動をすすめましょう。 |