必ず人生は終焉し、必ず訪れる人生最後のイベントが“葬儀”です。 しかし、葬儀については、あまり詳しくない方が殆んどです。 ここでは、葬儀業界の事、葬儀サービスの実態アンケート、最近の葬儀事情等を紹介します。
葬儀業界について
異業種等からの新規参入、葬儀施行件数は今後も増加
葬儀施行規模の縮小・葬儀の簡素化
近年の我が国の死亡者数の増加傾向からみると,葬儀施行件数は今後も増加するものとみられますが最近の葬儀施行規模の縮小・葬儀の簡素化により葬儀1件当たりの葬儀業者の平均売上高は下落傾向にあります。また、葬儀業者間の競争については,農協,生花業といった異業種等からの新規参入によって、今後活発化するものとみられます。
葬儀社の許認可や法令等は
葬儀業については、経済産業省が所管しかし
許認可は必要なく、同省への届け出義務もありません。
葬儀業については、経済産業省が所管しているものの、営業するにあたって許認可は必要なく、同省への届け出義務もありません。また、葬儀業に関する特別な法令等も存在せず、業界団体によるモデル約款等に相当するものも作成されていないのが現状です。
事業者数は
葬儀業を営んでいる事業所は6000以上
競争は激化、旧態依然の葬儀社は淘汰
総務省の「平成16 年事業所・企業統計調査(速報)」によると葬儀業を営んでいる事業所は6,605 であり、異業種からの参入も増加しています。 よって競争は激化し、旧態依然の対応では淘汰の波にさらわれるとみられます。
求められるサービス+明確な価格
今や見積りは当たり前
適切な選択のために必要な情報提供
一般に、消費者は将来起こり得る葬儀のために情報収集を行っている場合が少なくまた、葬儀に直面した場合,遺族は比較的短期間のうちに葬儀業者の選択を迫られることが多いことから葬儀サービスの内容や料金についてよく理解しないまま葬儀業者と契約してしまう等の状況にあるとみられています。
そのため,葬儀業者が提供するサービス内容や料金等について消費者の適切な選択のために必要な情報が十分に提供されることが特に重要となっています。
・4人に1人がその葬儀業者に再度葬儀を依頼したいとは思わない
葬儀サービスの内容と料金に何らかの不満が
35%の人がサービス内容が葬儀料金に見合っていない
過去に施主等の経験があると回答した人のうち,4人に1人がその葬儀業者に再度葬儀を依頼したいとは思わないとしており,そのうち,サービス内容が葬儀料金に見合っていないと感じた(35.2%),料金の明細を明らかにしていない(14.1%)など,実際に提供を受けた葬儀サービスの内容と料金に何らかの不満を抱いたとする方が多くみられました。
(公正取引委員会-葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書より)
・80%が事前に葬儀社を決めていません。
葬儀業者の事前選定状況
葬儀社を事前に決めていますか?
消費者モニターアンケート調査によれば,過去の施主等の経験の有無に関わらず,65.1%の消費者は、葬儀業者を決めておらず,葬儀業者を選ぶための情報収集もしていないのが現状です。
決めている葬儀業者がある 18.4%
決めていないが,葬儀業者を選ぶための情報収集はしている 16.5%
決めておらず,葬儀業者を選ぶための情報収集もしていない 65.1%
有効回答数=1,027(消費者モニターアンケート調査)
・56%の方が故人が亡くなってから葬儀社を決めています。
葬儀業者の選定時期
葬儀社を選ぶのはいつですか?
過去に施主等の経験があると回答した人でも,故人が亡くなる前から葬儀業者を決めていた方は43.7%であり,故人が亡くなってから葬儀業者を決めたものが半数以上を占めています。
故人が亡くなる前から決めていた 43.7%
故人が亡くなる前から決めていない 56.3%
有効回答数=421(消費者モニターアンケート調査)
・95%の消費者は他の葬儀社と比較していません。
依頼前の他の業者との比較状況
他の葬儀社と価格やサービス比較しましたか
故人が亡くなってから葬儀業者を決めた消費者のほとんどは,その業者に依頼する前に他の葬儀業者とサービス内容や料金を比較しておらず、理由としては、比較を行う時間的余裕がなかったとしています。
〇依頼前の他の業者との比較状況
比較した 4.4%
比較しなかった 95.6%
有効回答数=228(消費者モニターアンケート調査)
注:母数は故人が亡くなってから葬儀業者を決めたと回答した方
〇葬儀業者を選定する時間的余裕の有無
時間的余裕があった 4.2%
時間的余裕がなかった 95.8%
有効回答数=216(消費者モニターアンケート調査)
注:母数はサービス内容や料金面を比較していないと回答した人
(公正取引委員会-葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書より)
突然の不幸では時間的制約もあり、葬儀社選びは非常に難しいものとなります増加する相談件数 PIO-NET(全国消費生活相談情報ネットワーク・システム)によると、葬儀サービスに関する相談は、以前より毎年度一定数の相談が寄せられており、ここ数年をみても01年度164件、02年度154件、03年度187件、04年度202件、05年度342件、と年々増加傾向にあり、2001年度以降の相談内容を見てみると、「価格やサービス内容について十分な説明がない」といった事業者の説明不足に関する相談が多く見られます。 相談の原因は事前の準備不足も求められる事前の情報収集 葬儀に対して事前の情報収集や葬儀社の選択を行うこと自体、積極的に行いたいものではありません。しかし、上記の調査資料を見ても誰しも必ず訪れる”イベント”に対し充分満足のいく準備を行っているものとは思えません。 | ||
今や見積りは当たり前、見積りしない業者は論外一昔前なら、見積りをする葬儀社に依頼しようと、うたっていましたが、今や見積りをしない業者は論外です。 最近では業者を見分けるポイントとして最低でもHP等で会社概要や個人情報保護方針が明記されているところを選びたいものです。 また、ホームページやチラシ等で低価格をうたっておきながら、見積もり金額が大きく違う場合などがありますので注意したいところです。 葬儀スタイルの新しい”かたち”が見られます葬儀スタイルにも、家族関係の変化や地域意識の希薄化、宗教観、人生観、死生観に加え、経済事情等も重なり大きな変化が見られます。 家族葬等、葬儀自体の縮小傾向が見られる一方、自分らしさ、故人らしさを追求した新しい葬儀のかたちが見られるようになって来ました。 映画「おくりびと」がもたらす”心の変化”映画「おくりびとは」今まで脚光を浴びることのなかった「納棺士」という職業がクローズアップされただけでなく、納棺から通夜、告別式とつながる、家族等と故人との別れを確認する儀式、葬儀の大切さを再認識させてくれました。 また、死の尊厳、必ず訪れる自身の死に目を向け、如何に終焉を向かえるかを考える機会を与えてくれた作品ではないでしょうか。 | ||